オラーハ!真咲です。
皆さんは読んだら走りたくなる小説を知っていますか?
そう、入間人間先生の『虹色エイリアン』ですね!
4つの短編からなる、同じアパートに住む4人の地球人ミーツ異星人の入間先生らしい群像劇。
この作品、本当に大好きで、発売日に購入してから幾度となく読み返しているのですが、最近また読んだので最新の感想を記録しておこうかと。
ちなみに百合作品ではないけれど、一応ガールミーツガールもあるので、入間先生の百合が好きな人は読んでね(無理矢理)。
『虹色エイリアン』の登場人物、結構他作品に出てくるのでその点でもオススメ。
ここまで推しといてなんですが、この作品重版全然かかってなさそうで、紙媒体で入手難しそうなんですよねえ。解せぬ。
電子書籍では売ってるのでみんな買おう。
絶対に前情報なしで読んで欲しいので、読んでない人は今すぐブラウザバックして読んできてください。
読むのにオススメの季節は夏です。
それでは感想を書いていきます。
『瞳が虹に満ちれば』
女子大生のカナエがひやむぎ泥棒を捕まえたら、髪や瞳が虹色に輝く流刑中の宇宙人で、なんやかんや面倒をみることになったお話。
宇宙人の名前はカニャエ。
カニャエは本名ではなく、カナエに日本語を教わる流れでカニャエになった。
未知との遭遇ではあったものの、日本語を教えたり、ゴキブリ退治してもらったり、スーパーまでかけっこしたりと交友を深めるカナエとカニャエ。
こんな少し不思議な生活が続くのかなとカナエが考え出した矢先、カニャエの体調が悪化。
地球の大気に順応できないので宇宙に出て治すしかないらしいが、カナエにはそのあたりのこと何もわからないという。
そもそもカニャエがなんで地球にやってきたのかもわかってないし。
というかそんななんにもわからない怪しいやつの面倒見るカナエ、お人好しすぎないか?
苗字丹羽だったりする?しないか…。
宇宙に帰るため、こっそりアパートから抜け出したカニャエを追いかけるカナエ。
出発寸前のカニャエに言った言葉が「ハロー」「グッドバイ」なのが冒頭との対比になっているのがまた良い。
一応説明すると、冒頭の宇宙語は
ハロー→hallo→ollah→オラーハ
グッドバイ→goodbye→eybdoog→エイブドッグ
こんな感じ。
カナエはカニャエとの出会いで人生を賭して目指す目標を手に入れる。
宇宙人とは出会えなくとも、誰かと出会うことで人生が前向きになるのはとても素敵なことだと思うし、そういった出会いをしたい。
カニャエが地球に帰ってこられるかはわからないけど、カナエがどれだけ老いたとしても、この二人が再び出会うことを願う、願わずにはいられないそんなお話。
『ガンメタル魂』
犬を拾っただけなのに、灰色のエイリアンが腹から生えるようになった青年が地球を滅亡から救う話。
マジでなんのこっちゃいって感じだけど本当にそういうお話なので仕方ない。
まあ地球滅亡の原因はこの灰色のエイリアンなんだけど。
このエイリアン、カニャエが創造した生命体で創造した罪でカニャエは流刑になって、エイリアンも宇宙に投棄されたと。
で、その本体が2年後に地球にやってきてでっかい隕石的な感じで地球が滅ぶらしい。
可愛い顔してなんてもの作ってんだカニャエ。
青年に寄生したのはエイリアンの上半身だけで、別の人間に寄生した下半身に襲われてバトルになったりと、カナエパートとは違ってかなり物騒。
青年はエイリアンを歓迎してなくて、一人でいるのが楽で好きだから早く出て行って欲しいと言い続けてるけど、エイリアンがご飯を作ったり世話を焼いてくれるのもあってか少し絆されているような。
ご飯作ってくれるのはエイリアン自身の栄養のためだけど。
多分だけど、人は一人で生きられないこともないけど、どんな形であれ誰かと交流した方が豊かな人生になるんだろうなと。
青年もエイリアンのことを嫌がりながらも、なんだかんだ言い合いをして、結局一人でいたいという根本は変わらなかったけど、間違いなく前向きな変化があったはず。
宇宙人が出てくる話で言うのもなんだけど、一番地に足がついてる話で結構好き。
『まっしろないのち』
ダメダメ女子大生の猿子が見た目ザリガニの宇宙人ボストンの観察対象になる話。
地球が滅びるので見込みのある人類を何人か救済しにやってきた宇宙人ボストン。
ノアの箱舟的なやつですね。
迷彩装置でボストンは地球人からは見えないはずなのになぜか猿子には見える謎。
頭のネジが数本外れてそうな猿子と辛辣なボストンのやりとりがめちゃくちゃ面白い。
太っ腹のくだりは声出して笑ってしまった。
『ガンメタル魂』のところで青年が地球救ったって書いたけど、猿子も相当貢献してると言うか、もはや猿子が救ったと言ってもいいかもしれない。
ボストンも言ってるしね。
「雲より速く、夏の空の下を走りたい」
出典 入間人間 虹色エイリアン
これ、灰色エイリアンに「生きてどうする?」と問われた時の猿子の答えなんですけど最高じゃないですか?
自分がこの先生きたところで何か大きなことを成すとは限らないし、成す可能性の方が低い。
それでも自分が今ここに生きて感じた素晴らしいことをこの先も感じ続けたい、だから生きるのだと。
こんなの走り出したくなりますよね?真冬ですけど走りました。
これがどれくらいエイリアンに伝わったのかはわからないけど、エイリアンは去って地球は救われました、めでたし。
まあカニャエが地球にいたのも大きそうではありますよね。
地球が滅びないのならボストンの役目は当然無くなるので帰っちゃいます。
最後の最後に猿子、宇宙人認定。
あ、ちなみにボストンは女性なのでこれもガールミーツガールですよ!(百合好きへの宣伝を忘れない)
『僕たちに相応しき星の上で』
小学生の時に流行った夢占いのせいでからかわれるようになった「僕」と幸長の話。
前の3つのお話の解説回的な位置付けになるのかな。
結論から書くと、幸長はフルネームが幸長猿子で、小学生幸長には灰色エイリアンが寄生していた。
病弱だったのが治ったのもエイリアンの力によるもの。
猿子の記憶があやふやなのも、エイリアンが離れる時に記憶を弄ったからでその副作用もありそう。
猿子がカニャエの宇宙船を修理出来たのもこのエイリアンに寄生されてからか。
本編とはあんまり関係ないけど、「僕」の友人として突如ネームドで出てきた足利、こいつ多分下半身の寄生先よね。
明言されてないけどあまりにも足を強調して書かれているので。
何度も読んでると正直この話無くても良いな〜とは思うけど、1回目読んだ時の綺麗に全部繋がった爽快感は最高だった。
「僕」と記憶を失った幸長の出会いから新しい物語は始まるのか、乞うご期待!!
エピローグ『流刑0光年』
ハロー。ハロー。たー、だー、いー、まー。
何も言うことはない。最高だ。
まとめ
改めて本当によく出来た一冊だなと。
入間人間作品一冊勧めるなら間違いなくこの一冊ですね。
これ書いてるの夜中なんですけど、感想書いてると走り出したくなってきたので寝て起きたら走ろうと思います。
この作品同じアパートの住人がそれぞれ主人公としてお話が進むので、要所要所に隣の部屋が〜とか隣人が〜って描写があって面白いんですよね。
その辺もがっつり触れたかったんですけど引用まみれになるし、あまりにも分量が多くなるので「虹色エイリアン 解説」で記事1つ作ろうかなと考えてます。
次読むなら作中の季節に合わせて夏ですね。
それでは皆さんここまで読んでくれてあり がとー。グッドバイ!そんでもって、アゲイン!
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